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11/01/2004

POLYSICS

 ポリシックスのベスト盤『POLYSICS or DIE!』のプレスリリース用原稿。04年執筆。

 ポリシックスに最初に取材したのはファースト・アルバム『1st P』のとき(99年2月)だった。フミはまだ加入前、メンバー全員「PORY1号」「PORY2号」といった芸名を名乗っていて、ステージからパンを投げるパフォーマンスをやっていたころだ。もちろんメジャー・デビューするずっと以前の話である。いまだから言うが、まさか彼らがその後5年ものキャリアを積み上げアメリカ進出まで果たすほど成長するとは想像もしていなかった。えらいオモシロいバンドだしイキオイもあるけど、どう考えても長続きしそうにないよなあ、などとたかを括っていたのである。いやあごめん。完全な認識不足でした。オレが悪かった。

 本作『PORYSICS OR DIE』には、そのころのレパートリーである「BUGGIE TECHINICA」「PLUS CHICKER」(ともに『1st P』収録)「Hot Stuff」「Modern」(ともに『A.D.S.R.M!』収録)といった楽曲のリメイクが収められている。どれもライヴなどではおなじみの曲だが、ここでの演奏を聴くと、彼らの本質はインディーズ時代から1ミリたりとも変わっていないことがわかる。もちろん演奏技術は飛躍的に向上したし(おそらく同年代のバンドでポリほど上手いバンドは、ほとんどいないはずだ)、アレンジの手口やサウンド・プロダクツのクオリティは以前とは比較にならないほど多彩かつ高度になっている。だが彼らのいる場所、目指しているものは、5年前からなにも変わらないのである。

 ぼくは最初の取材の原稿でこう書いている。

 「なんという素直さ。自分の好きなもの、気持ちよく感じるものに対してテレとか屈折とか、ヘンな距離感など全然ない。そこで、自分なりのオリジナリティがどうの、時代性がどうのなんて考えないのだ。(中略)この徹底してリクツ抜き、快楽主義的な態度は、たとえば"ギターウルフはカッコイイとマジで思う"という姿勢に通じている。それはそれで潔いし、現在の彼らの魅力もそこにあると思う」

 なんとまあ驚いたことに、この表現は今の彼らにもそっくりあてはまってしまうのである。自意識を売り物にして、自らの苦悩を直裁に歌にしちゃうようなアーティストがもてはやされる中、ポリにはそんなところが微塵もない。徹底して無意味でプラスティックで享楽的で衝動的で肉体的。聴き手とのベタベタした馴れ合いを気持ちいいほど断ち切ったドライさは、自らのアイデンティティをアーティストやその歌に過剰に託しちゃうようなリスナーが多い日本で、明らかに異色である。だからこそこのバンドは長続きしないだろうと思ったのだが、ポリはその荒い鼻息のまま、一歩も立ち止まることなく突っ走ってしまったのだ。もちろん、一応人間なんだから5年の間には行き詰まったり悩んだりしたことぐらいあるだろうが、全18曲56分、少なくとも音からはそんな迷いは一切感じられない。その割り切りぶりはもう、ニコニコしちゃうほど潔い。

 一時は変化したほうがいいとも思ったが、こうなればこの先10年20年と同じ調子でやってほしいと切に願う。40代になったハヤシやカヨやフミが、相変わらずおそろいの素っ頓狂なコスチュームを着て、渋さ知らずな爆裂ロックンロールで汗まみれになってる。いいじゃないですか。

(追記)
 先日ぼくの主催するパーティーでDJをやってくれたハヤシ君に本作へのコメントを求めたらひとこと。「これは新作です!」
 ワケわかんねえって(苦笑)。

2004年4月13日 小野島 大

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