佐藤伸治(Fishmans) (1)
フィッシュマンズの故・佐藤伸治には2回だけ取材したことがあって、これは2回目のもの。98年6月12日、アルバム『8月の現状』発表時におこなわれた会話だ。非常に言葉すくななやりとりで、その場ではなかなか弾まない会話にインタビュアーとしての技量不足を嘆いたりもしたものだが、いま読み返してみればフィッシュマンズ及び佐藤伸治の音楽を理解する鍵が散りばめられていて、なかなか興味深い。なお所属事務所からの要望により、インタビュー完全版と、雑誌掲載記事(『マーキー』Vol.8)を併載するので、あわせてご覧ください。
(1998年6月12日・大橋ポリドール・レコードにて。『マーキー』vol.8の記事のためのインタビューの完全版)
――去年も野音でやってますけど、野外のコンサートというのは、佐藤さんにとって特別なものだったりするんですか。
「うん、ていうかライヴをやるということ自体、特別なものはありますけどね」
――わりとレコーディング・バンド的なイメージはありますけどね。
「どうだろう……レコーディングってあんま好きじゃないんですよね」
――へぇ……なんで?
「うーん……性に合わないっていうか(笑)。ああいうふうにこもって長々とやるっていうのが。外で遊んでる方が楽しいし、ライヴの方が全然好きだし。ただ、作る音の都合上ーっつーか。ロック・バンドみたいにポンとやって終わるってわけにいかないんで、仕方なくやってるっつーか(笑)」
――そういう、ポンと演奏しっぱなし、みたいな方向に行くこともできたわけでしょう。どこかの段階で。
「……どうだろう?」
――たとえばファースト・アルバム出したときはどうだったんですか。
「ああ、そういえばそうですね。ああいう方が好きですよ、基本的には。完成した音は別としてね、やり方としては。みんなでせーのってやって、終わりっていう方が」
――それがどこで変わってきたんですか。
「うーん、わかんないけど……ただ、そういうやり方でレコーディングしてると完成したものを聴いてると、ここはこうすれば良かったとか、いろいろ出てきちゃうから」
――ああ、自分の作ったものに満足がいかなくなってきて、満足いくように作ってるうちに、レコーディングに凝るようになってきた、と。
「……ていう感じですかね」
――じゃあ自分の作ったものはかなり聴き返す方。
「かなり聴きますね」
――人によっては全然聴き返さない人もいるみたいですけどね。
「ええ、前へ前へって感じで」
――ええ。自分のやってきたことを反芻しながら前に進む方ですか。
「……ていうか、単純に自分の聴きたいものを作ってるから、素朴にリスナーとして聴いてるっていうか。なんかの肥やしにしようとかじゃなく」
――じゃあ、やるものと聴くものは一致させたい。
「そうですね」
――セカンドぐらいからですか、そういうレコーディングに気を使い出したのは。
「3枚目ぐらいからかな。『ネオ・ヤンキーズ・ホリディ』あたりからですね」
――どういう部分で?
「うーん………………」
――(笑)エンジニア的な部分ですか。
「う…………(苦笑)」
――(笑)じゃぁ質問を変えましょう。こないだバッファローとやったとき(98年6月7日、日比谷野音)、バッファローの曲で一曲茂木さんが叩きましたよね、自分のセットで。そのとき、バッファローのドラムと全然ピッチがちがうんですよ。茂木さんのスネアの方が全然ピッチが高い。あの「カン! カン! カン!」ていうスネアの音がフィッシュマンスの空気感の秘密なのかな、と思ったんですけどね。
「ああ!なるほど。いや、俺は考えたことないですけど(笑)。ドラムの人はきっと考えてるでしょう(笑)」
――(笑)困っちゃったな。でも、佐藤さんなりに、こういう音がいいとか注文は出すでしょう。
「ドラムですか? いや出さないですね(笑)。好きにしてくれって。自然にやってくれって。ドラムの人はいろいろ話してますけどね。ピッチがどうのって。俺はあんまり……」
――じゃあ、佐藤さんなりの音響的なものに対するこだわりは、どういうところで?
「……ギターじゃないですかね」
――たとえばどういうところで?
「……うーん……」
――たとえば「ウエザー・リポート」ではレック(フリクション)がギター弾いてますよね。あれはどういう経緯で?
「ああいうギターを弾けるのはレックさんしかいないだろうって。エンジニアの人がフリクションもやってる人なんですよ」
――ああいうギターは自分では出せない?
「いや、出せないんじゃないですかね」
――こういう音が欲しいと思ったら、こだわりなく他人にも弾いてもらう。
「いや、日によってちがうんじゃないですかね(笑)。自分の出来る範囲で済まそうと思うときもあるし。バンドだからそうなんでしょうね。もし自分のソロだったら、自分で出来ることしかやんないだろうと思うし。バンドだといろんな人がいろんなことを考えて、俺はこうしたいとか、あるじゃないですか」
――じゃぁ、いまの3人のメンバーの意向をうまくバランスさせてバンドを運営させていると。でも最終的にまとめるのは佐藤さんでしょう?
「いや、でも3人でなんとなくまとまってますよ」
――じゃぁレコーディングは終始3人ともいるんですか。ギターやヴォーカルのダビングのときも?
「そうですね」
――そのとき、彼らからいろいろアドバイスがあることも?
「結構ありますね」
――『ネオ・ヤンキーズ・ホリディ』からレコーディングに臨む姿勢が変わったという話ですが、このアルバムからエンジニアがZAKさんに代わってますね。その影響もあったんでしょうか。
「ていうか、プロデューサーがいなくなったから」
――それまでの2枚にはそれぞれちがうプロデューサーがついてましたね。あまり合わなかった?
「いや、合わないっていうか、その人の方向に行くじゃないですか」
――引っ張られちゃって。で、これはちがうぞと。
「いや、ちがうとも当時は思わなかったですけどね。現場でチマチマ喧嘩とかしてたけど、ちがうとは思わなかったです」
――でもまぁ、自分たちでやってみたいと。
「どうだったかな……うん、そうですね」
――それまでは自分たちのやりたいことが明確に見えてなかったということも?
「うーんと……見えてたとしても、それをあらわす術も知らなかったし」
――2枚アルバム作って、レコーディングのやり方もわかってきて、自分のやりたいこともはっきりしてきて、それを実現するやり方もなんとなくわかってきたのが『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』あたりからと。
「そうですね」
――ZAKさんとはどんな作業だったんですか。
「単に音をとり方だけじゃなくて、アレンジまで協力してもらってましたね。彼から学んだものは大きかったと思いますよ」
――『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』がひとつの転機となったと。次の『オレンジ』はまたちょっとちがう感じになりましたね。
「そうですね」
――作り込んだものに対する反動とかあったんですか。
「反動っていうか、ライヴ・アレンジでもいのかなって思ってた時期なんですよ。あのころライヴ楽しかったから。『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』を作ったあと、それをライヴ・アレンジに変えてたりしてたんですけど、それが楽しかったから……つうか、それまでライヴ・アレンジっつうと馬鹿みたいなアレンジしか出来なかったんだけど、そこでちょっと……ちがってきたのかな」
――ライヴっていうといろいろ制約あるんですけど、メンバーの出来る範囲でやるか、足りない部分はほかから引っ張ってくるか。
「当時はその中でやろうかなという感じですね。それが制約とも思ってなかったし。それでうまくいったりいかなかったりはありますけど」
――そのあとでライヴ盤出しましたけど、いろいろ事後に加工してあるんですよね。それはやはりなんらかのこだわりがあったわけですね。
「ライヴ盤で基本的につまんないっていうのがあるんですよ」
――聴いてて。
「つうか、出したところで。見に行った方がいいだろうっていう。音だけ聴いてもつまんないですからね。だったら音だけでも楽しめるようにした方がいいし。だから今度の『八月の現状』も同じような気持ちで作ったんですけどね。今度の方がまだふつうのライヴ盤に近いかなっていう」
――なるほど、じゃぁ新作の話に移りますが、こないだのライヴ『オー・マウンテン』を出したときは結果的に移籍前の最後のアルバムになって、移籍第一弾の『空中キャンプ』からいろんな意味でフィッシュマンズは大きく変わったわけで、『オー・マウンテン』はいわば区切りのアルバムとなったと思うんですよ。今回の『八月の現状』もそういう意味があるんでしょうか。
「いや全然ないですね。だいたい今回なんで出すことになったのかよくわかってないっつうか」
――そんな、いきなり不安になるようなことを(笑)。
「正直言うと最初は全然ノッてなかったですよ。やっぱ新録音の方が楽しいから。作業終わったいまでもそう思いますけどね」
――困った人だなぁ(笑)。でもいざ取り組めば、やっぱりこだわりはあってあちこちいじったんでしょう。
「ええ。始めて一ヶ月ぐらいたってようやく楽しくなってきましたけどね。いまやってるライヴ・アレンジって、そんなライヴらしくないし。だから聴く方もライヴ盤には聴こえないんじゃないかな」
――ヴィデオで出す気はないんですか。
「ヴィデオの方がよっぽど楽しめるかなと」
――そうですか。ヴィデオじゃない音だけのライヴ盤を出すっていうのがこだわりなのかなと思ったんですけどね。
「『オー・マウンテン』のときはそう思ってたんですけどね。見えないで出来ることってあるじゃないですか。でも今回はそういうことは全然考えてないですね。ライヴ盤のメリットとかも考えてないし」
――じゃあ、佐藤さんにとってこのアルバムの意義は。
「このアルバム作るときに一番かんがえてたことは、ライヴ盤なんだけど、ふつうの人が考えるライヴと逆っていうか、心の静まりみたいなものをライヴ盤で出したいというか」
――ああ、ガーッと盛り上がるんじゃなくて。
「うん、盛り上がってるんだけど、その中での、内なる心の静まりみたいなものが出せればな、と」
――それは面白いですね。そういう感じを出すために、たとえばどういう形で元の音を変えていったんですか。
「変えていったっていうのはないんですけどね。盤にするために何をするかというより、ライヴ中にみんなが何を考えているかっていうか(笑)」
――ああ、テープを聴きながら、このとき何を考えてたかなぁ、と。すごく穏やかな気分のときだったら……。
「ぼくはそれが一番好きかな。ライヴ中は」
――たとえば「ウエザー・リポート」なんかでは、ただ静かっていうんでもなく、かといってワーッと燃えるんでもない。水面にサーッとさざ波がたっていくような、ドキドキするような感じがあるんですが、やっている側はどうなんですか。
「うん、静かになるっていうか、一人になれるっていうかね。ライヴって。それがすごく好きっていうか、気持ちいいっていうか」
――お客さんが何千人もいて、ワーッと盛り上がってても、一人を感じるわけですか。
「うん……一人っていうとヘンな感じするけど」
――周りに一杯人はいるけど、俺は一人なんだなぁ、と感じるような。
「ふだん人と接するじゃないですか。そういうときって、一人でいるときみたいな静かな心になれないっていうか。そういう意味でライヴのときにそういうのが一番ラクになれるっていうか。あと一人でいるときはね」
――人に気を使ってるし、使わせてるみたいな。
「うん……あるんじゃないですかねぇ」
――ライヴで、メンバーがいて、何千人もお客さんがいるような場で、初めて自分は自由になれる、みたいな。
「うん、ありますね、すごく」
――スタジオの中に入ってても、そんな感じはない。
「歌入れのときにたまーにありますけどね」
――そういうときに、バンドのほかのメンバーというのはどういう存在なんですか。
「……でも、一人じゃありえないからね。その感じを一人で掴むことはできないから」
――ほかのメンバーが支えてくれてお膳立てしてくれるから、初めて自由になれる。
「そうですね」
――ひとりでギター持って出てきても、そういう気持ちは味わえない。
「いまやりたいことの中では、たぶん無理ですね。歌詞とメロディだけでその感じをあらわせるわけじゃないし。いろんなことが味方してくれて初めて出来るっていうかね」
――以前、歌詞で言い尽くせないことを音楽であらわすっておっしゃってましたよね。それはメロディだったりサウンドだったり空気感だったり、そういうもの全部で「一人」の感じを出そうとしている。『宇宙 日本 世田谷』なんかはそれがテーマだったわけですね。
「その中でしか味わえない感じというのがあるんですよ。それがいつでも出ればいいな、と」
――そういう感じを出したい、というときに、具体的にハードウエアの部分で心がけることはなんですか。
「なん……でしょうねぇ。長年のカンとしか言いようがないなぁ」
――『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』からこっち、積み上げてきたノウハウ。
「そうですね。でも、ファーストからそういう感じは持ってたんですけどねぇ」
――その「一人感」というのは、ことに最近強まってるような気がするんですけど、それは単にノウハウが身に付いてきて、うまくその感じを出せるようになった、というだけのことであると。
「それが一番大きいでしょうね。ていうか、よりそういうふうに思うようになってきた。なぜだかわかんないですけど」
――日常的にも一人でいることが多いんですか。
「そうですね。そっちの方がラクですね。」
――社会人である限りは人と接しなきゃならないんですけど、それは自分にとっては「我慢してる」という感じの方が強いんですか。
「うん(笑)」
――事情が許せばずっと一人でボーッとしていたい。
「そうですね」
――ライヴなんてたくさん人がいてストレスたまりそうですけど、実際は逆なわけですね。
「そうですね。でもライヴの快感も変わりましたけどね。外へ向かってたのが、ポツンといるような感じになってきて」
――ああ、最初はお客さんとコミュニケーションをとろうという気があった。
「……(笑)いまでもありますけどね。でもそうかもしれない」
――音楽が変わってきたからそうなってきたのか、内向的になったから音楽も変わってきたのか。
「……どうでしょうねぇ。ライヴのときポツンといるのが気持ちよくなってきましてね」
――人のライヴはどういう感じで見てるんですか。
「……だから、人のライヴはあんまり面白くないかもしれない(笑)。入っていけないというか」
――人のライヴで大騒ぎすることはない。
「そういうのを期待してないっていうか。ライヴ会場に行って見るのは好きなんだけど……ビートはくるけど入っていけないというか。エンターテインメントには興味ないし。「なんだ、これもエンターテインメントか」って冷めちゃう方だから」
――じゃぁ、我を忘れて熱狂するなんてことはない。
「ないですねぇ。ライヴでも日常生活でも。ライヴ・リハのときぐらいかな。我を忘れることはないけど、夢中になって」
――逆に言うと、夢中になれるのはそのときぐらい。
「うん……。あのね、すごい、漠然とした人間なんですよ。だから自分のことがよくわからないんですよ。インタビューなんかでいろいろ聞かれるんだけど、答えられないんですよ。そうじゃない音楽を作りたいと思ってるから」
――ああ、すぐパッと答えが出るような音楽じゃなく。
「自分の漠然ぶりを出すような音楽」
――以前取材したときに「なんとも言えない感じ」という言い方をぼくがしたら「ああ、その表現はいいですね」とおっしゃってましたね。
「うん、ていうかそういう音楽しか作れないですよ」
――その都度明確な答えを出して前に進むというタイプじゃない。
「全然ないですね。誰かと仕事してても「これはこうだよね」って簡単に答えを出されると、すごい腹が立つ」
――そんな簡単に決めつけるなよお前、みたいな。
「そうそう。そこで答えを出すなって感じがする」
――そう言われれば、フィッシュマンズの音楽って、バンッと始まってバンッと終わる曲ってないですよね。
「ないです」
――それは意識的に。
「正直にやるとそうなったという感じですね(笑)」
――そこで、スッパリと割り切ってずんずん前に行く人がうらやましいと思うことは。
「いや、ふつうに。人は人ですから」
――なるほどね。なんかわかってきました……って、こういう言い方がよくないのか(笑)。そんなに簡単にわかるなよお前、みたいな。(笑)
「曲とかも、数書くしかないのかなと。ハッキリしたものが何もないから、いまも昔も。だから、その時々の曲を書いていくしかないのかなと」
――ああ、あれこれ自分のなかで……。
「……どうこうするよりも」
――いっぱい作ってみて、それがバラバラのようでも、それはすべて自分自身なんだから、と。
「うん、ていうやり方の方がいいかなと。『オレンジ』あたりからそうなりましたね」
――そうですか。自分のなかで自問自答を繰り返して、練りに練った末ようやくできあがったものを形にしている、という感じを持ってましたけどね。
「うん、そうではないかもしれないですね、気持ち的には。自分のなかですごい練り上げて作ったものでも、だから何だって感じはすごくする。それはあまり興味がない」
――ライヴ毎に少しずつアレンジが変わるのも、あまり決めたくないという気持ちが。
「決めたくないっていうか、そのときの気分の変化で思いつきでやりたいんですよ。歌はとくにそうかな。歌詞は同じなんだけど、全然変えられる感じ」
――でも「思いつき」の割にはアレンジとか、凝ってますよね。
「(笑)そうですね」
――それがジレンマになること、ないですか。
「いやないです。その時々に一生懸命やればいいと思ってますから。それがレコーディングのヤなとこなんですよね。やればやったで一生懸命になって、時間がかかっちゃう」
――佐藤さんはイコール、フィッシュマンズと言えるんですか。
「いや、そうではないですね。できるだけ自分は出そうと思ってますけど、バンドですからね。みんなで作ってるから」
――ソロをやろうという気は?
「ないですね。もしソロでやったら全然ちがうものになるだろうとは思います」
――どういうふうに?
「うーん……娯楽はもっと少なくなるでしょうね」
――はあ、娯楽のつもりなんですか、いまでも。(笑)
「(笑)かなり娯楽性あるつもりですけどね、一人でやるより」
――ひとりになったら自分のためにやる。
「ま、だからこそバンドがお似合いなのかもしれないけど」
――人に聴いてもらいたいって気持ちはあるんでしょう。
「それはありますよ」
――それと娯楽は結びつかないんですか。
「……そこでいつも悩み抜いてるから」
――お客さんが一杯入って、ワーッと盛り上がってくれりゃあ嬉しいでしょう。
「すごく嬉しい。だから娯楽は大切だなって、いつも思ってるけど(笑)」
――でも向いてない。
「向いてなかないけど。すごい相反する感じはある。両方あるから。一生懸命考えても、すごいヤケクソなとこあるから。それに近いスかね、ライヴのバランスっていうのは。すごい楽しいぜって思いながらも、下向いてるときもあるし。そういうのと娯楽って、すごいヤケクソなバランスで成り立ってる感じがする」
――「マジック・ラヴ」みたいな曲っていうのは、娯楽の部分が強い。
「あ、そうですね」
――逆に、自分の一番コアな部分が、娯楽抜きで出てる曲っていうのは。
「(笑)わかんねぇなぁ……」
――「ロング・シーズン」みたいな曲は?
「あれもでも、すごい一大娯楽篇ですよ、自分では」
――曲作ってるとき、これ娯楽足りねぇから娯楽加えて、とか思ったりすることは?
「ていうかね、人に聴かせるものってことを考える。これは人に聴かせるものじゃない、とか考えて、それに耐えうるものにしていく。インタビューだってさ、聞くに耐えうるものにしようと自分では精一杯しようとは思ってるんだけど。(笑)そういうもんですよ」
――それは理解してもらえるものってことですか。
「わかりやすいもの」
――じゃあ、曲作りとかレコーディングで佐藤さんが葛藤してることっていうのは、もっぱらそういうことなんですか。自分のやりたいことをいかにわかりやすく伝えるかっていう表現手段の問題。
「それは結構多いですね。ライヴは特にそうかな」
――それは自分にとって苦痛なんですか。
「いや。自分はすごい単純な人間だから、単純な雰囲気は欲しいんですよ。とくにライヴの構成とか、曲の構成とか」
――単純な人間には見えないですけどね。
「いや、単純なんですよ、ホントに(笑)」
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