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11/02/2004

Thee Michelle Gun Elephant (1)

 解散ツアーの仙台公演のライヴ評。「GBM」掲載。03年執筆。この1週間後の幕張メッセでの解散ライヴのライヴ評と、同時掲載された。

 同業のライターや編集者は、この稀なるバンドの最後を見届けようと、自腹で何度も地方公演に出かけたりしていたようだが、ぼくはここのところの超多忙もあって、結局地方はツアー・ファイナルのひとつ前のZEPP仙台しか見ることができなかった。考えてみればブランキー・ジェット・シティの解散ツアーのときも、地方ライヴは1回しか見ることが叶わなかった。どちらももう2度とライヴを見ることができないことを考えれば、無理にでも時間を割いて地方にも足を運べばよかったとの悔いがないわけじゃないが、これがぼくと彼らの「縁」というものなのだろう、と思う。

 ある程度予想はしていたことだが、この日のミッシェルは、ぼくらの知る、あのミッシェルであり、それ以外のなにものでもなかった。湿っぽいところは微塵もない。チバのMCも本当に最低限のことしか言わない。「今まで応援してくれてありがとう」とか、それぐらい言ってもバチはあたらないと思うが、そんな感傷的な気持ちなどその風圧で吹き飛ばしてしまうような強い演奏で、聴き手を圧倒するのである。最後の最後まで「別れ」を思わせるようなそぶりもなく、いつもと同じようにクハラが客席にダイブして、幕。なんか1年もたてば新しいアルバムをひっさげてもツアーで戻ってくるんじゃないかと思わせるほどさりげない「別れ」だった。

 他公演を見た人に言わせると、この日はとりわけ演奏のテンションが高かったという。誰かひとりが突出するのではなく、全体が微妙な緊張感に彩られながら、一体となって猛烈な勢いで疾走していく。その姿は、まさにミッシェル・ガン・エレファントそのものだった。

 もう未来のないバンド。ライヴでエネルギーを充填し、音楽活動にフィードバックすることで大きくなってきた、いわば生粋のライヴ・バンドだったミッシェルだが、解散ツアーともなればそういうこともない。この先レコード制作や新曲作りがあるわけでもなく、一連の解散ライヴは、これまでの10年のバンド活動を総括しながら思い出と記憶を反芻する作業でしかない。乱暴に言ってしまえば、単なるファン・サービスであって、それ以外のなにものでもない。だがミッシェル・ガン・エレファントというバンドがファンによって支えられ、力をつけてきた存在であることを考えれば、「ファン・サービス」という軽い言葉に込められた意味と重要性を、誰よりもメンバーが理解していたはず、と言い切れる。ファンへの感謝とお礼。彼らのぶっきらぼうで無骨な、だが誠実なあり方を思えば、この日のライヴがテンションの高いものとなったのは当然のことであり、また全国どこのライヴでも、同様に素晴らしいパフォーマンスを繰り広げたのも容易に想像できる。

 JR仙台駅の目の前に会場があるので、演奏終了後に即座に新幹線に飛び乗れば日帰りも可能だったのかもしれないが、名残惜しくその場を立ち去りがたい気持ちは、ぼくも、メンバーも、スタッフも、もちろんファンも同じだったはず。打ち上げに参加すると、東京からわざわざやってきたやってきたメディア関係の人間が多数。なぜかブランキー・ジェット・シティの元マネージャー氏の顔もある。なんか地方出張って感じが全然しないが、みな仕事というより、バンドとの別れを惜しむ気持が強いのだろう。

 たまたま隣に座ったクハラと話をする。まさかこういう場で突っ込んだインタヴュー・モードにするわけにもいかず雑談に終始したが、どうやら解散そのものはかなり以前からメンバー同士の話で決まっていたことで、彼ら自身の心中の決着は、とうの昔についていたようだった。なるほどライヴでの吹っ切れた爽快感は、なんの未練も後腐れも後悔も葛藤も傷も軋轢もない心理状態だったからこそ、なのだろう。今後はただの友だちとして飲みに行ったりするだろうけど、もうミッシェルのメンバーとインタビュアーという形で話すことはない。実は、それが一番寂しかったりするのである。ともあれあと1週間で、すべては終わる。

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