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11/02/2004

中森明菜

 02年発表のセルフ・カヴァー集『歌姫double Decade』のレコ評。ミュージックマガジン掲載。

 <歌姫>明菜の復権が急だ。カヴァー集『歌姫2』、オリジナル新作『Resonancia』と佳作を連続リリース、02年3枚目となる本作は、80年代のシングルを中心としたセルフ・カヴァー集である。

 前作ではっきりと打ち出した中南米路線がここでも主。オルケスタ・デル・ソルの森村献によるサルサ・アレンジの3)5)、武部聡志によるタンゴ4),ボサ・ノヴァ14)、さらに7)10)はスカパラ北原雅彦らによるスカ・アレンジまで施している。キーが低くなり、高音域ではかすれ気味となる声はオリジナルとはひと味異なる、翳りを帯びた憂いのニュアンスと一種の凄みを付け加え、パッショネイトなラテン・アレンジと鮮やかなコントラストを示す。

 声の衰えは隠しようもなくビッグ・バンド・ジャズ・スタイルの2)では演奏の豪奢さに負けている。同じく12)は最近出た井上陽水の簡潔で無駄のないヴァージョンに比べやや雑に聴こえる。いまの彼女が本領を発揮できるのは14)やアンプラグドの8)9)など、バックがシンプルなときだろう。もう何千回となく歌っているはずの処女作14)など、歳月を経た深みがオリジナルの清純さを反転したドラマを感じさせ、ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」00年版を聴いたときのような重い衝撃がある。声の衰えはあっても彼女は歌手としてそれ以上のものを手に入れている。素晴らしいです。

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