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11/02/2004

Rip Slyme

 02年クリスマスイブに恵比寿ガーデンホールでおこなわれた男だけのライヴ『男汁祭』のライヴ評。『パチパチ』掲載。

 クリスマス・イヴである。

 街はピンク色のラヴラヴ・モードでいっぱい。あちこちでテンぱったカップルが上気した顔でお互いを見つめ合い、愛を確かめあう。あーうっとーしい。でもウラヤマシイ。

 そんな中でぼくは、リップ・スライムと一緒、である。男子限定ライヴ、題して「男汁祭」だ。イヴの夜の過ごし方としてこれでいいのか! という思いもつのる。微妙。しかし、これは楽しそう。これはとっても楽しそう。お客さんはおろかゲストもスタッフも、誰一人として女子は入場できないのである。

 女子からは「男子だけズルーイ!」の声があがっているが、はっきり言って男子はふだんのリップの「女子比率99%ライヴ」でめちゃくちゃ肩身の狭いをしているのである。圧倒的な女子パワーの前にいつもちいさくなっているか弱き男子の声なき叫びが届いたのが、今回のライヴなのだ。リップさんありがとう。

 会場に着くと、おお、これはなんという絶景だ。男しかいない! 受付の係員、売店の売り子、PA卓につくスタッフ、そしてもちろん客に至るまで、男・男・男ばかり。おー同志よ、今夜は楽しくやろうぜ。せっかくのイヴだというのに行き場のない寂しき野郎どもの、今日はお祭りなのだ。

 そしてライヴの始まり! リョウジがムキムキのマッチョマンのかぶりモノでステージに飛び出して、「アイム・ア・マン」を歌いだすと、会場はすごい大歓声だ。念のため断っておくが、「キャー!」ではなく「うおー!」である。いつも圧倒的な女子パワーの前に小さくなるばかりの男どものたまりにたまったエネルギーが、ここぞとばかりに爆発してる。むさくるしくはあるけど殺伐とした感じは全然ない。どこの誰か知らないけど、お互い少数派のリップ好き男子同士ということで、どこか和気あいあいとした連帯感が感じられるのだ。お客さんの反応がとてもヴィヴィッドで素直。女子がいないって状況は、こんなにも男どもを素直にさせるのか。なんせ男同士、かっこつける必要なんかないのだ。

 それにあおられてか、メンバーもいつになく男っぽく迫る。トラックもよぶんな装飾音を除いたストイックな作りになっていたようだ。なにより、メンバーのテンションが高いし、リョウジのMCも冴えている。内容はまぁ、言ってみれば若い男同士が友だちのアパートに集まって、他愛もない下ネタで無為に盛り上がってる感じだろうか。3面のスクリーンには、くだらないエロ画像が流される。MCの内容も含め、リップの連中にも、男同士ということで上下脱いだリラックスした様子がうかがえたのだ。MCの間じゅう、会場には笑いと歓声が絶えず、演奏が始まると会場が一体となって楽しんでいる。熱気はあるけど、暴力的なものではない。なんとも楽しく暖かい雰囲気だったのだ。

 クライマックスでは天井からダッチワイフが大量に振ってきて、また大盛り上がり。全部で1時間半のライヴは、とても密度が濃く、楽しいものだった。

 数日後は武道館公演。男汁祭の1800人男子パワーは頼もしく思えたけど、この日の1万数千人女子パワーには圧倒された。やっぱり多勢に無勢、かないません。でもアーティストのパフォーマンスの密度やテンション、会場の暖かい盛り上がりという点では、1800人の男汁祭も、決して負けていなかったと思うのだ。来年もぜひ、やってほしい。1年に1回、こういうひそやかな楽しみを自分へのクリスマス・プレゼントにするのもいいと思う。女子とラヴラヴで盛り上がるだけが人生じゃないぞ!とやせ我慢を言いつつ、来年の12月24日に会おうぜ、同志!

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