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07/09/2006

第3回フジロック(1999)

ミュージックマガジン99年9月号掲載。

 3日目、ホワイト・ステージ大トリの再結成ハッピー・マンデイズのグルーヴィな演奏にカラダを揺らしながら、いつまでもこの瞬間が続けばいいのに、とぼんやり考えていた。それは延々3日間続いた夢のような宴の終わりという感慨であり、紆余曲折の末ようやっと帰還し、この大舞台で全盛期を彷彿とさせる喜びと生命力に満ちたステージを見せてくれたマンデイズへの感謝と共感の気持ちだったのかもしれない。彼らは全身でこう訴えていたのだ。「先のことなんてわからない。でもいま、この瞬間だけは楽しい」と。

 天神山、台場と移り、今年また都心から離れた山のなかに場所を移したフジ・ロック。昨年のように都心での開催なら、さまざまなリスクや不測の事態を回避できる。だから、フェス本来の趣旨である、不便で不自由だが開放的な自然のなかで、各人の責任でその場を楽しむというコンセプトがうまくいくのか、この種のイヴェントが日本に根付くことができるのか、などは今回の開催の成り行きにかかっていたと言える。

 そして、さまざまに課されていた事前の課題はほぼ完全にクリアされていた。とくに1回目で大きな問題となった交通アクセスの悪化、ゴミ投棄は見事に解決されていた。会場内のあちこちに設置された巨大ゴミ箱、環境保護団体のヴォランティアの尽力もあり、のべ数万人が行き来した割には、会場はおどろくほどきれいだった。総体として、フェスに参加した人たちの意識も、主催者側のノウハウのスキルも著しく向上していたと思う。

 3日目の夕方、ほんの一瞬にわか雨がきたほかは、晴天にも恵まれた。日差しが強かった割に風があったせいか湿度はそれほど高くなく、過ごしやすかった。意地の悪い見方をすれば、今回は天候も含め、なにもかもがうまくいった僥倖であり、一昨年のような事態になって初めて主催者の管理体制や参加者のモラルの真価が問われるということになるのだが、いまはただ、なにごともなく3日間が終わったことを喜びたい。

 昨年9月号の第2回フェスの総括記事で、出演アーティストの出演順の問題を指摘したり(邦楽と洋楽など、ファンのノリのちがうバンドが並ぶと危険)、欧米ロックに偏りすぎたメンツのなどに一考を求めたのだが、その点もうまくクリアされたみたいだ。3日間の入場人数にはかなり差があったが、いずれの日も大きな混乱も、事故もなく終わったようだ。また出演アーティストに関しても、大量のクラブ系アーティスト/DJやフェミ・クティ、トドス・タス・ムエトロスなどの登場で、過去2回に比べるとかなり幅の広いラインナップとなった点を評価したい。

 ロック系出演者に関しては、過去2回の出演者の再登場もふくめ、以前来日したことのあるメンツが多くて新鮮味に欠けたのは残念ではある。噂に聞くところによれば、他プロモーターとの関係で断念せざるをえなかったアーティストの例もあるという。せっかく夏の大イベントとして国際的な認知も高まりつつあるだけに、つまらない縄張り意識は捨てて欲しいと願うばかりである。

 とはいえ、主催者が思い描いていた理想は、現時点ではほぼ100%に近い形で実現されたと言っていい。あとはただ、毎年変わる主催地を固定して、地域とのいい関係を築くことだ。そうしてみて初めて、フジ・ロックは日本に根付いたと言えるのではないか。

 個々のアーティストに触れるスペースがなくなってしまった。詳しくはぼくのウエブ・サイトを参照してほしい。簡単にぼくが印象に残ったアーティストを各日毎に記して、この夢のような3日間の総括としておこう。出会ったすべての人に感謝。1日目=マッド3、アンダーワールド 2日目=ボアダムス、キャプテン・ファンク 3日目=フェミ・クティ、ハッピー・マンデイズ。

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