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2004.07.26

■ザ・フー@ロック・オデッセイ

 7月24日@横浜国際競技場。

 ザ・フーはドアーズと並んで一番思い入れのあるバンドだけど、多くの人と同じようにこういうイベント形式、しかもいかにも金にあかせただけのテーマもコンセプトもはっきりしないイベントでは、見たくなかった。だがこれが最初の、そしておそらくは最後の来日公演。やはり見届けるのが古くからのファンの義務であろうと炎天下の中、出かける。

 遅れて到着するとポール・ウエラーをやっている。いかにも生真面目な、彼らしいライヴ。このクソ暑い中、あそこまで肩に力を入れて演奏するのも大変だろうけど、まあそれがこの人の持ち味だから仕方ない。
 続くはビーズの稲葉。もちろんライヴを見るのは初めて。できるだけ偏見や先入観なしに見ようとつとめるが、歌はうまいですね。でもなんか、歌唱力の活かし方のベクトルが根本的に間違ってる気がする。あまりに旧態依然な歌謡ハード・ロックで、いったい人気の理由はなんなのか、ライヴを見ても判然とせず。

 で、ザ・フーです。稲葉が終わった会場にザ・フーの名がコールされ映像が流れると、大歓声が起きる。もしかして会場はエアロスミスとビーズのファンばかりでザ・フー・ファンは形見の狭い思いをしているんじゃないかと懸念していたが、なんか、長年のファンの昔年の思いが爆発したみたいな盛り上がり方で、それだけでもう感動的。
 ライヴの様子そのものは鳥井賀句さんが詳細に書いているんでそちらにお任せするが、ぼくの感想を一言で言えば、あまりに感動的な最高のライヴだった。席がスタンド1F、しかもステージ真横に近いポジションでステージ全景は把握不可能、ナマの彼らは米粒ほどにしか見えず、ステージ横の大スクリーンで様子を確認するしかないという状況で、ともすればシラケた感じになることは容易に想像できたのに、いざ演奏が始まったらアタマのネジが2,3本吹っ飛んでしまい、もう狂喜乱舞。アホみたいに興奮しまくり、一緒に歌いまくりの1時間半だった。
 やる曲は毎度おなじみの定番ばかりだし(むこうのツアーの抜粋版という感じで、日本のみの選曲とかはなし)、キース・ムーンもジョン・エントゥイッスルもいないザ・フーが本当のザ・フーなのかどうかという根本的な疑問もある。新作アルバムを作るわけでもなく過去の曲ばかり演奏してまわるザ・フーに、音楽的な必然性などあるはずがない。そして実際、ビデオなどでさんざん目にしたライヴ映像と、特になにがちがうということもなく、すべてが予測の範囲内のライヴだったわけだが、にも関わらずすべてが予想をはるかに上回って素晴らしいライヴだったのだ。その理由をずっと考えているのだが、正直、うまく分析できない。ロジャーの声はあの歳にしてはよく出ていたと思うし、マイクぶんまわしはさすがに手慣れたもの。ピートのプレイは予想以上に演奏もジャンプもアグレッシヴだった。それも大きな要因だが、それだけが理由じゃない。見ている間中、ウッドストックのライヴ盤や『ライヴ・アット・リーズ』を馬鹿のひとつ覚えのように聞きまくった中坊の日々とか、いろいろむかしのことが思い出されてならなかったのだが、そうかといってノスタルジーの一言で済ませてしまうのも、絶対ちがうと思うのだ。なんか、ロックがロックであるための指針というか、そんなものが、彼らのライヴにはあった。帰って『キッズ・アー・オールライト』のDVDを見ていて思ったけど、ロックでしかありえないロックだけが持つ魅力と、どうしてもロックでなくてはならない必然が、ザ・フーにはある。マイクぶんまわしもジャンプも最後のギターぶっこわしも言ってみればお約束の娯楽、ファンサービスなのだが、だが、そこにはやはりそうせずにはいられない初期衝動が、確かに感じられたのだ。もちろんそれはこっちの思いこみに過ぎないかもしれないが、そう思わせる懐の深さがあった。これはビデオで見ているだけでは絶対わからないことだったと思う。それに、会場の実に暖かく熱狂的な盛り上がり。これが彼らの意識に、演奏に反映したのはまちがいない。
 ザ・フーの場合、日本での人気に比してギャラが高すぎるのが来日できない原因とも言われたが、皮肉にもキースもジョンも亡くなり、ふたりになったことでギャラが下がったことが今回の来日に繋がったとも噂されている。それでも単独公演では不可能で、こういうイベントだからこそ実現できたのだろう。だがこの日のライヴでザ・フーの人気と評価は(いまさら、ではあるが)決定的なものとなったはずだし、なにより、ファンの反応の良さにはアーティスト自身かなり気をよくしたと思われる。彼らがツアーをやれるのは、おそらくこの2,3年。なんとか単独公演が実現しないだろうか。

 ザ・フーが終わってすっかり気抜けしてしまい、帰りたい気分もありつつ、エアロスミス。娯楽に徹した安定感のあるパフォーマンスは完璧の一言で、エンタテイナーとしてはザ・フーよりはるかに上だったと思う。文学青年ふうのウジウジした内向性がザ・フーの魅力だが、エアロはそんな陰影などクスリにしたくともない。だが、この人たちはそれでいいのである。ジョー・ペリーが「ザ・フーがいたからこそ、ぼくたちはここにいられるのだ」と大先輩に敬意を示したのは好感が持てた。こういうところが永遠のロック少年ぽくて、憎めない連中だと思う。
 それにしてもジョー・ペリーがいきなり「ハロー、フジロック」とやらかしたのは笑った。ウドーさん、気を悪くしたろうなあ。なんでそんな勘違いしたんだろ? 少なくともジョー・ペリーの頭には日本の代表的なロック・フェスということで刷り込みがあったってことだな。そんなに出たいならフジロック、出ればいいのに。ただしそのときはザ・フーの前の出番でね(笑)。

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