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2009.12.14

■ソウル・フラワー・ユニオン@恵比寿リキッドルーム

 先週土曜日(12日)のソウル・フラワ-・ユニオン@リキッドについて。素晴らしいライヴだったが、現状の限界も見えた気がした。、限界というよりは、現状の方向性で行く限りの功罪と言ったほうがいいかもしれない。脂ののりきったバンドの充実した演奏で、最高といえる内容だったとは思う。だがその一方で、どうも微妙な違和感を禁じ得なかった。なぜかといえば、あまりに女性客が少ないのだ。以前彼らのライヴを見たのがいつだったかはっきり覚えていないのだが、そのときと比べて明らかに少ない。女性客が減ったおかげで、会場は異様に男濃度が高い。

 なぜなのか考えたのだが、要は今のソウルフラワーはほとんど100%「男性原理」で動いているからではないか。「男性原理」という言い方がきつすぎるというなら、今の彼らの音楽には、女性たちが入り込むような「余裕」「余白」といったものが少ない、と言ってもいいかもしれない。どこかで彼女たちを許容し、その中で遊ぶことを許してくれるような「甘さ」「弱さ」「スキ」がない。要は今のソウルフラワーはあまりに男性的でありすぎ、立派でありすぎ、強すぎるのである。その男性性とは、ケンカの強さとかマッチョ体格とか不良っぽさなんてことではない。ソウルフラワーの男性性とは、<論理>であったり<正義>であったり<正論>であったりする。

 彼らの音楽には、良くも悪くも、含みが少ない。言っていること、演奏している内容がその表現の大半であって、それ以外の余白、つまり聴き手の想像力を膨らませる余地が、ほかのアーティストに比べかなり少ないと感じる。その「想像力」とはつまり「妄想」でもあって、彼らの音楽は妄想を膨らませたり、妄想の末に誤解してしまうような(そのことを許すような)曖昧さがなく、つねに明快で、直接的で、論理的で、わかりやすい。彼らのようなメッセージ性の強い表現は大なり小なりそうならざるをえないと思うが、それになじめないリスナーもいるだろう。それが女性客が減っていることの原因なのかどうかはわからないけれども、無関係ではないと思う。

 もちろん、そうしたソウルフラワー(主に中川敬)のキャラクターは今に始まったことではない。だから私が痛感するのは、伊丹英子の不在である。彼女の存在は、やはりことのほか大きいと、この夜痛感した。彼女には、中川の強力な「男性性」を中和してなお余りある「女性性」を感じる。別な言い方をすれば、彼女の存在は懐が大きく余白がたくさんある。もちろん上村美保子も素晴らしいアーティストではあるのだが、中川の引力圏内にいるアーティストと感じる。だが伊丹は中川とは違う宇宙があって、それが中川の世界と、時にぶつかりあい時に混じり合うことで、唯一無比のソウルフラワーの音楽ができあがったのだと、今更ながら痛感したのである。

 女性でもないお前になにがわかる、という声もあるだろう。また、女性がそういうもんだと決めつけるお前の態度は女性蔑視だ、という人もいるかもしれない。だが音楽性がさほど以前と変わっていないのに、いやむしろ技術的にも音楽的にも進歩していると言っていいのに、なぜ女性客が減ったのか、私なりに感じた仮説が以上である。もちろん女性客が減り、相対的に男性客の割合が増えること自体は、良くも悪くもない。現在のバンドの方向性がそうだというだけの話で、それを是とするか否かは、好みの問題でしかない。ただ現状のままいけば、ソウルフラワーの音楽は今後大きく広がっていくというより、よりカルティックなものになってしまう可能性がある。中川がそれでよしと思っているのなら、これ以上言うことはないのだけれど。

<追記>
 twitterで、特に最近のソウルフラワーの女性客が減っている印象はない、という意見を複数いただきました。しかし「女性客の減少」は、この論の前提というより、とっかかりだと考えます。つまり「女性客の減少」という減少がなくても、上記の論は成り立つと考えます。

 

<追記・2>

私のtwitterアカウントには、この文章に寄せられた感想などがRTしてあります。ご参考までに。http://twitter.com/dai_onojima

 中川敬にはこの二階堂和美の祝島ライヴの映像を見て欲しい。きっと何か感じるものがあると思う。

http://blog.shimabito.net/?eid=900489

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コメント

ソウルフラワーの大阪ライブ3月に行ってきました。久しぶり(約2年)でしたが会場内の熱気ムンムンsweat01に 具合悪くなりそうでした。男性客が多く女性客が減少しているという点は私も同感です。初期は98%位?ほぼ女子ばっかでしたから…。音楽は素晴らしく20年を越えても今だにライブに行くのはソウルフラワーだけになってしまいましたがずっとファンでいたいと思っています。でも…なんか男臭くて汗臭くて 男ばっかりの中で一緒に歌って踊りまくれないんですよね〜!チョット無理。暴力的でもあるから肘とかが顔とか当たったら痛くて泣く。ヒデちゃんが居なくなったのも女子が減った一因。ていうかこれから初めてソウルフラワーが好きになる若い女子は少ないんじゃないかな?ビジュアル的に(ゴメンsweat01)年齢的に。ヒデちゃんは憧れであってお手本みたいな人やってカリスマ性あったから。正直今でもヒデちゃんの不在は惜しいけど沖縄での生活が幸せそうでなによりです。

投稿: みちる | 2010.07.19 01:21

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小野島大氏が自身のブログの中で先日のソウル・フラワー・ユニオンのライブレポをアップしてました。詳細はこちら⇒http://onojima.txt-nifty.com/diary/2009/12/post-a54d.html 確かにと思う部分もあり、面白く読んだわけですが、触発されまして、個人的な思いを述べます。以下↓ 小野島さんがアップしたライブレポを読み、仰っていることは非常に良く理解が出来る。それは、自分が彼らの現場に足を運ぶ度にリアルに感じることでもあったからだ。その音楽性ゆえに、広が..... [続きを読む]

受信: 2009.12.15 23:03

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